映画で知る、上流階級の茶会
紅茶を飲むシーンが印象的な映画は数多くありますが、その中でも見逃せない映画のひとつが、「眺めのいい部屋 A Room with A View(1986年英国/ジェイムズ・アイヴォリィ監督/E.M.フォスター原作)」。田園風景が美しい20世紀初頭のイギリスの田舎町を舞台に、良家の令嬢ルーシーと2人の青年との間に綴られる情熱的な恋の物語。庭園でのお茶会をはじめ当時の英国上流階級の洗練された暮らしぶりが伝わってくるこの映画をご存じでしょうか。1987年アカデミー賞3部門(脚色賞・美術賞・衣装デザイン賞)受賞の名作です。
英国文学史上初の紅茶の詩とは
17世紀イギリスの詩人、エドモンド・ウォーラーが1665年前後に書いた詩が、英国文学史上初の紅茶の詩と伝えられているようです。お茶を飲む習慣をイギリス宮廷貴族の間に広めたキャサリン王妃(イギリス国王チャールズ二世の妃)のお茶会で読んだ詩と言われます。
ヴィーナスが身にまとう天人花
アポロが冠る月桂樹
ヴィーナスが身にまとう天人花
王妃はかしこくも礼賛なされる
(参考文献:英国紅茶への招待・出口保夫著・1993)
世界一有名?物語のティーパーティー
世界の人々に読まれている物語の中で、紅茶を飲むシーンを思い出すものと言えば、まずは児童文学の名作、「ふしぎの国のアリス」Alice's Adventures in Wonderland(1865年英国/ルイス・キャロル作)」が有名です。この物語では、いろいろな場面で紅茶が登場するのですが、特に印象的なのが「帽子屋と三月ウサギとネズミのお茶会」にアリスが仲間入りする第7章のシーン。アリスと不思議な1人+2匹が交わす、これまた不思議な会話がとてもおもしろく、絵本などでもよく登場するシーンです。森の大きな木の下のテーブルで飲む紅茶は、とても美味しそうです。